中国の北京や台湾、シンガポールなどで使われる「北京語」と、中国の広東省や香港を中心に使われる「広東語」は中国語の7大方言のなかでも代表格の二つとしてよく比較されることがあります。
どちらも古代中国語をもとに作られた言語であることは同じですが、それぞれの特徴をよく比べてみるとさまざまな相違点があることに気づきます。
そこで今回は、中国語の方言のうち「北京語と広東語の違い」に関することや、標準語との使い分けに関してご紹介します。
北京語と広東語の違いとは?
中国語を母語話者とする人口は、世界中に約13億7千万人いるとされています。
中国語には大きく分けて7つの方言がありますが、最も多く使われているのが「北京語」であり、その次の上海語に続く方言として有名なのが「広東語」です。
以下では、これらの二つの中国語方言の違いについていくつかまとめています。
違い(1)使用される地域や人口の違い
北京語と広東語の違いの一つに「使用される地域や人口の違い」があります。
中国の北京市、台湾、シンガポールなどでよく使われる北京語に対し、中国の広東省、香港、マカオなどで使われるのが広東語です。
人口に関しては北京語を話す人の数が圧倒的に多いのですが、香港ドラマや映画の人気を受け、広東語を学びたいという若者の数も増え続けているようです。
違い(2)声調の違い
二つの方言のもう一つの違いとして「声調の違い」があります。
中国の標準語として用いられている普通話と同じく、「声調が4つある北京語」は外国人が学びやすい方言だとされています。
その一方で、「広東語は主に6つの声調」からなっている方言です。中国語をはじめて勉強するという方にとっては、声調の違いになかなか耳が慣れずに理解するのに時間がかかるといったことが学習を難しくさせる部分です。
北京語と広東語では同じ意味を持つ言葉であっても、以下のように発音や声調が大きく異なることがあります。
《こんにちは》
北京語 → 你好(nǐ hǎo)
広東語 → 你好(nei5 hou2)
《ありがとう》
北京語 → 谢谢(xiè xiè)
広東語 → 多謝(doh1 je3)
違い(3)語順の違い
起源は同じ古代中国語である北京語と広東語ですが、「語順の違い」に大きく戸惑う方も多いようです。
テレビニュースなどで用いられる言語は「普通話」であることから、ほとんどの中国人が標準語を使うことができます。しかし中には、学校に通っていない人や普通話が標準語として制定される前に生まれた高齢者もいるため、生まれ育った地域の方言のみに限定して使うことがあります。このような場合は、標準語で話しかけても理解してもらえないこともあるので注意が必要です。
広東語に関しては会話をするための言語であることから、発音を漢字で表示できない単語も存在します。そのうえ、広東語は昔ながらの漢字を簡略化せずに表記する繁体字を用いることから、学校で勉強したとしてもライティングが苦手という中国人も案外多いようです。
方言と標準語を使い分ける
これから中国語を勉強しようと考えている方の中には、「標準語を勉強すれば良いのか」、「北京語を勉強すれば良いのか」、「それとも他の方言を勉強したら良いのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
中国語を母語としている人は世界に13億人以上いるとされていますが、普通話と呼ばれる中国語を正確に話す人はそれほど多くないようです。日本でも地方によって方言を話し言葉に使っていることがあります。しかし、ニュースや新聞では標準語が使われていることから、標準語を読む機会も多く自然な形で方言と標準語を使い分けることができます。
日本語と同じように、中国語を話す人々も「標準語である中国語と中国語の方言」を上手く使い分けています。そのため、標準語をはじめに勉強して、そのあとに違った種類の方言を学ぶことでより中国語の良さや奥深さを学ぶことができます。
まとめ
中国語学習には限界がないことから、「標準語を習得したあとには方言を」、「一つの方言を学んだらまた違う方言へ」と学ぶ内容をグレードアップさせていけることが面白いところです。そのため、どういった中国語を学ぼうか検討中のときには、まずは標準語をはじめ、それぞれの方言の特徴などをより深く知り自分が興味のある言語を選ぶということが大切です。どういった中国語があるのかと気になったときには、今回ご紹介した内容などを参考にご自身に合う中国語はどれなのかと色々と模索してみてはいかがでしょうか。